TRISTEZA 

誰も知らない古い城 忘れ去られた庭園

青い薔薇の花びらに記憶の雫を落とす

花の路を駆ける少女 歌いながら何処へゆくのだろう

音もなく姿を消した 君は風のように

 

誰も知らない古い城 僕はただ一人泣いて

幸せだった幻を握りしめて佇んだ

少女の歌 歌う僕は 薔薇のアーチ くぐり抜けてゆくよ

暗い闇の棘は足を突き刺す それでも歩く 光求め

 

優しすぎる哀しみを越え

愁いを帯びた心に染みてく

僕の手には 一輪の哀(あい)                 

長く続く道に君の声が響く

 

行かないでと 君の背を追って

枯れてく 花の命儚く

 

薔薇の路の向こうに

少女が一人 僕を待っている

愛しい人よ 泣かないで微笑んでいて

叫ぶ声さえも届かない

 

古い城の庭園は消え

もうじき僕も消えてしまうだろう

君の傍へ 好きな歌と花を餞に

今 棘の向こうへと

 

もう 灰となった

城と僕と薔薇の君と・・・

 

 

2007

 

 

 

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